2025/11/27

映画を観てきた。

 



ひさしぶりに、一人映画館に行ってきた。
どうしても見たい邦画があった。
ちょうど東京にいるので池袋に。

僕は、のんべんだらりと生きているようで
振り返ってみると、
大切な人を失ったり、失いかけたり
辛かった経験が、年の割には多い方だと思う。
だから、悲劇的な映画は好きではない。
もう、それは実生活で充分なのだ。

だから、大げさに言えば、何も起きない映画が好きだ。
当たり前のことが静かに進んでいく中で
情緒を醸し出すような、そんな映画。
写真だってそう。劇的な何かを写しとったものより
静かに何かを呟いているような写真が好きだ。


この日観た映画が、どうやら悲しい結末を迎えるであろうことは
予告編を見た時から想像はついていた。
それでも見たいと思ったのは、その予告編で
平穏な中に交わされたであろうセリフが耳に残ったからだ。

主演の堺雅人さんが素晴らしいのはもちろんわかっていた。
それに加えて僕がとても惹かれたのは、
もう一人の主演、井川遥さんの、その言葉の発し方が
何と言うのだろう。
誤解を恐れずに言えば、とても愛らしかったのだ。

それは、今巷であふれているカワイイ、
というような、おもねるようなニュアンスではない。
困難な時、援けを求めたくなる時、
独りで強くあろうとする意志が、素朴な言葉の中に滲み出ていて
恋人にとってきっと、そばにいたくさせるような、
守ってあげたくなるような、そんな健気さとまっすぐさを
感じさせてくれるものだと私には思えた。

「たいした話じゃないな」
後ろをむいて精一杯な感じで口に出された彼女のセリフが
僕にとってはこの映画の静かなクライマックスだった。



観に行ってよかった。
皆さんも是非。




Lumix GF1 + 20mm/f1.7

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